いつものように、遊馬崎達はバンの中でくつろいでいた。 そんなある日。 はじまりはゆまっちのひとこと。 「ねえ狩沢さん」 「なになに、電波でも受信した?」 「俺はふと疑問に思ってしまったんすよ!!」 「ん?言ってミソ☆」 「臨也さんって……夏、何着てるんすか?」 間。 「ゆまっち……」 「なんすか」 「あの子の服が気になる☆なんて……」 「そんなこと言ってないっすよ!?」 「ゆまっち×イザイザ?」 「違うっすよ!?」 「ゆまっちもついに思春期がきたんだねー」 「遅いっすよ!第一俺の好きな服はメイド服ですし」 「それをイザイザに着せたいと」 「違いますよ!」 「そして這いつくばらせて靴を舐めさせたいと」 「むしろ俺が舐める立場っすよぉぉ!?」 「女王様?」 「えすえむっすか!?鬼畜?鬼畜なんですか臨也さん!!」 「あーでも、そんな感じだよねー。でもってシズちゃん絶対ツンデレだし」 「頬を染めながら言わないでください……!!と、鳥肌が」 「顔に?」 「腕っすよ!!」 「顔になったら……鳥人!?」 「あいきゃんふらい!」 「ゆーきゃんふらい!」 「すごいっすね!」 「すごいね!!」 そんなこんなで、遊馬崎&狩沢の会話は今日も止まることがなかった。 「私はエビフライになれます……?遊馬崎はまた何を言ってるんだ?」 密かに聞いていたこの人は、英語が苦手だった。 ……おちが。 オチがないのでもう一話。けもの。 曇りまくったその夜、シズオという名のうさぎはイザヤという名前のねこに遭遇してしまいました。 「にゃー(うわ、兎だし)」 ねこはあからさまに嫌な顔をしました。実は2匹はとっても仲がわるいのです。 「きゅ……!(お前…!何しにきやがったんだ?あぁ?)」 「にゃにゃにゃに゛ゃー!!(ややややめてやめてシズちゃん死ぬ!)」 うさぎはねこの首を締め上げました。……実はサドかもしれません。と、ねこは思いました。 「きゅー……きゅー……?(シズちゃん……だぁ?)」 「み゛ぎゃー!!(ちょ、シズちゃ……くん!)」 毎度毎度、うさぎに殴られたり蹴られたりしているに関わらず、ねこはうさぎを馬鹿にします。 言うのをやめたら、殴られることもないのに。 絡むのをやめたら、痛い想いをすることもないのに。 それでもねこは、うさぎを嫌な顔で見ています。 「にゃー(にしても、君がここにいるとは思わなかったよ)」 「きゅう(俺だってお前がいるって知ってたら来てねえよ)」 「にゃんっ(そりゃそうだ。はぁ……もう何だか、散歩する気も失せたよ)」 お互いがお互いのいることを嫌がっていたら、ふいに明るくなりました。 「……にゃ?(あれ?)」 「……きゅう?(ん?)」 なんと、空を覆っていた厚い雲が嘘のように消えたのです。 月明かりが優しく2匹をつつみます。 「にゃあ……(わあ…)」 「きゅー……(すげえ…)」 二人はそれぞれ、優しい光に感動していました。 「みゃ(これだけ明るくなったら、君の顔が見えて鬱陶しさ倍増なんだけど)」 「きゅう!(それはこっちの台詞だ!)」 ……というわけではなく、むしろ嫌がっていました。 せっかくきれいな月明かりなのに。ふたりはいつでも、どこでもいっしょ…じゃなくて、嫌いあっています。 「……みゃー(…なんだか疲れた。もう帰る)」 「きゅう(手前を殴れないのは残念極まりねえな。とっとと失せろ)」 とことこと歩いていくねこ。その足はすみかである、ドタチンの家に向かっています。 「きゅ……きゅう……(ふん、イザヤの野郎……)」 おかしなことに、あんなに嫌いあっていたはずなのに、うさぎはねこが帰るところをずっと見つめています。 ずっとずっと、見えなくなってもしばらくずっと。 うさぎはどこかさみしそうに、でもどこかうれしそうにずっとずっと見つめていました。 おまけ。 「にゃん……にゃっ(もちろん、シズちゃんがいることなんか知ってて来たんだけどね)」 ねこはルンルン気分で、踊るように歩きながら帰りました。 -----後書き。 白鷺さんのところの絵茶会で書かせていただきました。 や、なんかオチが微妙すぎて……で、二話。 久々のイザシズ獣化ですね!とはいえ某Tもさんの絵(残念ながら途中で蹴られてしまいましたが)に影響されたのですが。 いろいろ、癒されました……☆ そういやうちの臨也さんはシズちゃんを避けないタイプですね…!まあそうでもないと書けないのですが…! 06.03.12 けっぱ