明日は休日日曜日。僕はふらふらふらりと街中を歩いていた。
そうそれは非常に不本意。僕はただ歩きながら生クリームたっぷりのクレープを食べていただけなのに。


「おい、」

そう僕は突然声をかけられた。


ふぇ?、と口をもぐもぐさせたまま僕が振り向くとそこには中くらいのレベルの兵士が立っていた。
「貴様、どこの者だ?まさか我が王国を云々かんぬん」
どうやら兵士Aは僕が王国を滅ぼす者だと思って居るみたいだ。別に、いいんだけど。
そして僕はゆっくり口を動かした。

「 ブ リ ザ ド 」

カキーンとまるでホームランを打ったみたいな小気味良い音がして、僕のまわりは氷の広場になった。
これで静かになった。兵士さえも、噴水さえも、小鳥さえも。そこには全てを奪う寒さがあった。
僕が上機嫌で冷えたクレープを再び食べようとしたとき、

ぱちぱちぱち
「うん……凄い、まさかここまでやるとは思ってなかったよ」

黒いフードを被った男が現れた。……格好から見るに、黒魔道士、だろうか。
「ああ、警戒しないでね。別に君を襲おうなんて考えはないからさ」
「黒魔道士さん。僕が貴方に絡まれる筋合いはありませんから去ってください」
いつまでもクレープが食べられないままなので、無視しようとする。
「非道いなあ。非道い以外に言いようがないよ。俺はこう見えてもシーフなのに」


え。




「シ、シィィィフゥゥッ!?こんなに腹黒そうな顔なのに!?あーでも盗人ぽいかもしれませんね」
「さり気なくひどいね、君…」

「……で、用件は何なんです?」
「やっと聞く気になったのかい。君……」
嫌そうな顔をしているので、ホーリーをもう一度唱えようかと思ったけどやめた。
「帝人君、だよね」

「はい」


何故名前を知っているのか。何だかこの人の雰囲気ならそんなことも些細なことに思える。


「君は今日から俺の仲間だ」

有無を言わさぬ物言い、というのだろうか。



僕は思わず、頷いた。




「じゃあ、行こう」




満足げに頷いたそのシーフよりは腹黒い不気味な黒魔道士のようなオーラを纏ったそのひとに僕は攫われたのかもしれない






愛しい愛しいメンバーを
  
  
  
   
 
-----後書き。
某サイト様のデュラFFパロを見て書きたくなりました…!
そしてゲーム企画に使い回しされる運命。
06.05.29 けっぱ