「俺を…食べて?」

  【I want to be raped by you.】

  朝は、必ずやってくるものだ。地球が回っている限り。
  -----折原臨也は、いそいそとエプロンを着けていた。
  「俺がここまでしてるんだから、喜ぶよねぇ」
  鏡の前で確認すると、その足は寝室に向かう。
  「……起きてよ」
  ベッドに近づき彼を揺する。
  「ん〜…いざや、さん…?」
  「そうだよ」
  うっすらと目を開けた青年に、臨也が優しく微笑みかける。
  青年---遊馬崎は、素朴な疑問を口にした。
  「なんで…裸エプロンなんすか…?」
  「ゆまっちが好きでしょ」
  「萌えー…」
  フリルエプロンのみを着用したその姿に、寝ぼけた遊馬崎の頭は反応しない。
  「…ほら、もう起きてくれないと。寝込み襲っちゃおうかなー」
  「う〜ん…あと五分っす…」
  いつまでも寝ぼけている遊馬崎。
  …何でいつもみたいに可愛い反応してくれないのさ…
  俺のエプロンにもノーコメントだし。
  ムッとした臨也は乱暴に遊馬崎の顎を掴み、深く長い接吻を施した。
  「んっ…ぅ…」
  乱れる遊馬崎の甘い吐息。舌を絡ませながら、もっと長く、壊れるほどに。
  歯の裏をなぞり、口内を犯す臨也の舌。
  遊馬崎が欲情することなど、それには容易かった。

  「………ぃ、ざやさ…」
  唇を離すと、覚醒したようでどこか呆然としている遊馬崎の姿。
  「起きた?」
  「…しっかり…って…えぇ!?」
  「おはよ」
  正気に戻った遊馬崎は、臨也をまじまじと見る。
  裸エプロンにキス…この男ならやりかねないが…
  「男なんか嫌っす…!それに、何で俺の家にいるんすか…?」
  ここは正真正銘、遊馬崎の家だ。
  その証拠に、至る所に漫画や本が並んでいる。
  何故、臨也が裸エプロンを着けて自分の家に侵入しているのか。
  何故、朝から臨也がキスしたのか。
  それらを解決しなければ。遊馬崎がそう思い、問いただそうとしたら…
  「こんな表現使うんだねえ」
  臨也の手には、自費出版の本。
  「『++がナイフを振り上げた、その刹那----』」
  音読を始める臨也。
  最初は聞き流そうと努力していた遊馬崎だが、ついには崩れ落ち。
  「すんません俺が悪かったです…からッ…!」
  どうしても自分はこの男には勝てそうにない…。
  溜息をつき、本を本棚に戻す。
  最近、門田さんみたいになってきた…そんな自分は嫌だ…。
  たそがれていると、臨也が居ないことに気がついた。
  ………臨也さん、今度は何を…。

  ゆまっちが妄想の世界に浸っちゃったから、つまらなくなって
  ベッドに潜り込んだ。
  折角俺が来たのに、二次元に沈み込んで。二次元にかなわない、
  なんて事はないと思っていた。
  だが、その思いを覆すほど、遊馬崎の二次元愛はとてつもなく
  強大なものだったのだ。
  …でも必ず、こっちに来させてあげるよ。
  そう思った臨也は、うとうとし始める。ふぁ…と欠伸を一つ。
  「…ゆまっち…」
  そして、安らかに眠り始めた。

  ベッドを見たら、臨也が眠っていた。…寝相が悪いのか、エプ
  ロンが殆ど捲れている。
  起こさなくても良いかと思い、…ふと思い出す。自分も迷惑な
  くらいに起こしてやればいい。
  「臨也さん臨也さん臨也さんっ!!」
  そこに遊馬崎の叫び声が響き渡ったことは、言うまでもない。
  「ん…ぅ…」
  目を擦りながら起きる臨也。躯を隠すモノは、既に何もない。
  無防備なその躯を見つめた遊馬崎は---もう、二次元愛などとは
  言ってられなかった。
  「…臨也さん…」
  そのまま覆い被さり、舌を這わす。
  「『男なんか嫌』じゃなかったの?」
  腕を絡ませる臨也の首に、数カ所印を付け----遊馬崎は、臨也を頂いた。


  事後談:「ゆまっちってさあ…結局、襲うんだよね…」
  「ちがうっすよ!俺は…」
  「ここまでしといて言う?(ビデオ再生)」
  「くっ…撮っておくとは卑怯な…!」
  −−−−−−−−後書き。   臨也祭に出しました。遊馬臨です。   出した後に散々エロエロ言われましたorz   えろじゃあないです…び…びえろに分類されましたが!   こんなの出してごめんなさいでした。   05.7.16作成 10.15UP けっぱ