「世界はそれを愛と呼ぶんすよ!」

  【電撃男】

  俺は今日もパソに向かう。   [今日はシャネルタソとデートしてきたっす…!]   [シャネルタソはぁはぁ]   […それはよかったな、電撃。   さっさと病院に逝ってオタクを直してこい]   そんなレスが返ってくる。   シャネルタソこと、狩沢さんは憧れのひとっす。   センスが良くて、いい服着てて、優しくて!   二次元に入っていた俺の心に優しく触れてくれたっす。   彼女は俺のことを知らないんですよ……こんなにオタクで、   かけ離れた存在ということ。   でも……   俺は、狩沢さんも二次元も捨てられないっす…!   やっぱり、二次元からは離れることなんか、無理っすから。   運命も赤い糸も見えませんけど、狩沢さんのことが   好きだという事だけは確かです----   「カット」   「えぇ!?」   「駄目駄目ゆまっち!そこはもっと唇を噛まなきゃ萌えないよ」   本を振り回す狩沢。   「そ、そんなに噛んだら血がでちゃいますよ!ひどいっす!」   放課後の教室。   何処の教室も文化祭準備をしている中、二人は台詞合わせをしていた。   「第一何で俺が主役何ですか!?門田さんの方が全ッ然冴えてないっす」   「ゆまっち……ドタチンに主役が務まるとでも言うの…?」   「う…」   ぐい、と顔を近づける狩沢に思わず身じろぎする。   「それを言っちゃあお終いですよ…」   ……そもそも門田は一つ上で、同じクラスでは無いのだが。   二人はそんなことを気にせず、台本を見る。   遊馬崎は主役が気に入らないらしい。   しかし、主人公がオタクと決まった瞬間に   遊馬崎は主人公に(強制)決定され、   狩沢は「遊馬崎が出るんだったら狩沢だよな」ということで   ヒロインになったのだった。   「いいじゃんゆまっち。この冴えない役かなり萌えるよ?」   「だからって、なんでシャネルをチャネルって   読まなきゃいけないんすか…」   ずーっとブツブツ不満を垂れている遊馬崎に、狩沢が不意打ちした。   「!?」   「あ、ゆまっち顔赤いねー。そう、ちゃんとその顔するんだよ?」   不意打ちという名の、キス。   「ちょ、狩沢さ…」   「じゃ、次は私が言うから」   遊馬崎は劇中でも現実でも、狩沢には勝てそうになかった。   −−−−−−−−後書き。   友人ナリターちゃん(初・オフでのナリター友人)に捧げました。   またお相手願いますっ。   遊馬狩ー。自転車の方を書かなきゃいけないんですけどね…;   ゆっくり気が向いたと…き、にorz   05.10.15 けっぱ