僕の面白くもキチガイかと心配される親友。紀田正臣。
 僕は彼が-------
 
 
 【過ぎ去ったクリスマス】
 
 
 「正臣って、サンタみたいだよね」
 「何を言い出す帝人。世界中の女の子に幸せを与えるという点では同じかも知れんが、
 俺はあんな赤い服着て白いひげ生やすじいさんじゃねえぞ」
 「別に格好のこと言ってるんじゃないし、第一女の子に幸せ与えてないし」
 冗談にちゃんとつっこみながら、帝人は更に言う。
 「だってほら。正臣は、自分の味方になってくれる人の味方じゃん」
 大分前から正臣がずっと言っていること。
 『自分の味方の味方』
 それはつまり、助け合いたいということなのだろうか。
 深いところはよく分からないけれども。
 おそらく昔、臨也さんと何かあったであろう正臣に、
 それを聞くのはいけないことに思えた。
 一風変わった友人は居るが(自分も含まれるのかもしれない)なかなかに
 平凡な暮らしを送る正臣。
 自分はその正臣と、小学生の頃から仲が良かったけれど。
 彼の一部分は、何年か離れていたうちに変わってしまったらしいから。
 そのことに少しだけ嫉妬心のようなものを抱きつつも、帝人は一緒にいる。
 「ま、敵の味方はしたくないからな」
 「サンタはさ、信じた人のところにしかプレゼントをくれないじゃない」
 「まあな」
 「だからさ、正臣と同じだよ。『何かくれたらあげる』って、
 くれることを前提としてるんだからさ」
 ギブアンドテイク。
 なんだかそれも、違うような気はするけれど。でも、そんな気がした。
 「ん……そうかもしれないけどさー、ちょーっっっっぴり、違うな」
 「?」
 「サンタはさ、俺とは違うんだよ」
 「何でさ」
 「チッチッチ。分かってないね帝人くん」
 人差し指を横に振りながら言う正臣。
 「で?」
 「流された……サンタはさ、世界中の子供にプレゼントを配るんだぜ?
 つまりだな、サンタのじいさんは『サンタなんていない!』って
 言い張る奴のとこにも来る。
 だけど俺は『紀田ぶっ殺す!』って奴のもとには行かねえ訳よ。分かるか?」
 「よく分かんない」
 「俺、国語は10なんだけどな……まあつまりサンタは、サンタを知ってる奴
 のとこに来るって事だ」
 まだ理解はできてないけど、多分、サンタは信じなくても来ると言いたいのだろう。
 そう推測した帝人は、とりあえずそう理解することにした。
 「ところで帝人」
 「なに」
 「俺はな、イブもクリスマスもすぎた今も、まだプレゼントを貰ってないんだ」
 「知ってる人の所に来るんじゃなかったの」
 真剣な表情で言うものだから、まともにつっこんでしまった。
 「きっと忘れてるんだろうな……帝人サンタは」
 「……僕?」
 「そうだよ!俺はお手伝い券とかくれてやったっていうのに!
 俺の努力は何処に行ったんだよ!」
 「何処へでも行き腐ればいいと思うよ」
 そういえば、正臣にはプレゼントをあげていなかった。
 何にしよう。一日遅れだけれども、こう言われたらあげないと気が済まない。
 「……何が欲しい?」
 「んー……じゃ、これで」

 くちびるがかさなったかんしょく。
 
 やわらかいくちびる。
 
 いいにおい。
 
 あまいあじ。
 
 
 それらに思わず目を瞑ってしまった。
 
 目を開けたら、正臣がにっこりと笑っていた。
 「帝人の唇は俺が頂いた!」
 言われてから、自分のされた事がキスだと気付いた。
 「正臣……ッ」
 そして、顔が真っ赤になってしまった。
 熱い熱い頬を冷やすために、自分の冷たい手を頬につけて冷やす。
 男と、しかも正臣とキス。
 でも何故だか、目を瞑ってしまうほど心地よくて。なんだかもっと恥ずかしくなった。
 正臣にとっては初めてじゃないのかもしれない。
 そう思ってもこの味が、未だに唇に残っているようで。
 とにかく今は熱い頬を冷やすのに、一生懸命になろうと考えた。
 
 
 「もしかして、今のってファーストキ……いてっ!」
 「うるさいよ黙ってて!!」
 茶化す正臣を殴った、そんなクリスマス後。
 
  
 
 

 
 -----後書き。
 クリスマスが過ぎましたねー……。私はポケモンに必死です。
 というわけで、後日は正帝でした。初めて書きました。
 書いているうちに、自分が何を書いているのか訳が分からなくなりました。
 なんでしょうねこれは。青春きゅんきゅんしてるよこの2人。
 ただ私は「ちっちっち」が書きたかっただけだったのに。(事実)
 05.12.26 けっぱ