屋根どころか、君はこの俺よりも低いよ。 【ガキの日ネズミの日】 「……何の真似ですか、金島……銀河、さん」 「何って。見てわからないのかい?今日はこどもの日じゃないか」 島内某所。金島銀河と子城彼方は向き合っていた。 だからといって銃撃戦が起こっている訳でもなく。ネジロが殺されている訳でもなく。 銀河は、三日月の付いた兜をネジロの頭にかぶせた。 「こんな性格でも君は一応子供なんだろう?今日くらいガキらしく振る舞ったらどうだい」 「そんな……僕たちが無邪気に遊び回るとでも?」 ネジロは背中に冷や汗が垂れるのを感じつつ、薄い笑みを浮かべて言う。 「あなたのように、年中アロハシャツで南国気分な人間ではないですからね」 「そうかい。完全武装しても、君は俺に勝てないだろうけどね」 二人の視線がぶつかる。 かといってそれはその瞬間なにかが芽生えるラブロマンスな見つめ合いではなくて。 かといってそれはその瞬間なにかが芽生えるフレンドリーな見つめ合いではなくて。 冷めた視線と、冷めた視線。 間に入ったものは凍傷をくらいそうな視線がぶつかりあっていた。 「予言しよう。君はろくな大人にはならない」 「前にも聞きましたよ」 「そうかい」 そう言って、銀河はゆっくりゆっくりネジロへと歩を進める。 ネジロの表情が更に硬くなる。 手を伸ばせば届く距離に来たとき、ぐいっと銀河はネジロの顎を掴んだ。 ネジロは身体を強張らせて、じっと銀河を睨む。 「……無抵抗かい?」 ククッと心底楽しげにサディスティックな笑みを浮かべ、銀河はネジロと唇を重ねた。 舌と舌を絡めて、強引に押し切る。 ずっと薄笑いを浮かべていたネジロのそれからは、苦しそうな吐息が漏れる。 そんな状態が、ネジロの頭が服と同じ色になるまで続いて。 「あーあ、やっぱガキは続かねえな」 鼻で小さく笑って、銀河はやっと掴んでいた手を放した。 呼吸を整えたネジロは、再び無気力な目をして言った。 「確かに僕は、ろくな大人にはならないでしょうね」 「へえ?」 「だけど、銀河さん」 僅かに紅潮していた頬に熱さを感じながら、頭に乗っていた兜を脱ぎ捨ててネジロは言った。 「あなたのような大人には、絶対になりたくありません」 五月五日、こどもの日。 端午の節句。 子供の健やかなる成長を祝う行事。 -----後書き。 GW企画かっこぎもんけい、何でもオッケーリクエスト受付にて。 Tもさんに捧ぐ。銀ネジ。初挑戦。 難しいです銀河……!ネジロが子供だから書けたのかも知れない。 どうしても虐待に見えて仕方がない。子供であろうが大人であろうが、子供を虐める奴は最低だ。 どうしようもないナンパ師おっさん×保護者な幼女っていうカプは好きですけどね! …あんまり兜関係なかったですね……伊達政宗兜が使いたかったんだ…! 06.05.05 けっぱ