クリスマスだから。そんな理由は、当てにならないでしょうか。
 
 
 【25日の朝に】
 
 
 12月25日、朝。
 俺は何時も通りに、起きた。
 昨日は狩沢さんと盛り上がって、ケーキを食べたり門田さんをからかったりした。
 そのまま門田さんと渡草さんが送り狼になって、俺はひとりで家に帰路についた。
 狩沢さんとの扱いの差が、ひどいっすよねえ。
 男女差別を感じて、自分が男に送られるという光景を想像して吐き気を催したり。
 「やっぱり男は駄目っすよねえ……」
 「何が駄目なわけ?」
 ふと呟いたら、返事が返ってた。
 そんなはずはないっす。だって俺は一人暮らしで、合い鍵を渡したひとも
 いないんすから。
 「もしかして、メイドさんっすか……!」
 少しばかり、いや、もの凄く期待して背後を振り向く!
 だけどその期待が大きく外れていることを、俺は知ってしまう。
 「ゆまっち専属メイドですー御主人さま★」
 「げ」
 「げ、って。もっと色気のある声出してよ」
 そこにいたのは男で、多くの人に恐れられているひと。
 「臨也さん……。一応聞くっすけど、なんでここにいるんすか?」
 実はこれが五回目くらいで、朝起きたら臨也さんが侵入してることに慣れつつもある。
 そりゃ最初は驚いたっすけど……。
 「野暮な質問だね。クリスマスだからじゃないか」
 「は?」
 確かに今日はクリスマス。
 でも、それが何か?
 「クリスマスプレゼントは、二十五日の朝にくつしたを見たら入ってるでしょ?」
 「そりゃ、そうっすけど……」
 「俺はくつしたのなかには入りきらないから、ここにいるって訳」
 「……何でっすか」
 一応、聞いてみる。
 「それは、サンタさんが俺をここまで運んだから★」
 「はあ」
 「溜息吐かないでよ!」
 溜息だって吐きたくなると思う。
 朝起きたら恐れている人間が居て、しかもサンタクロースからのプレゼントだと
 言っている。
 それよりも何よりも呆れるのが、自分がこんなことに慣れつつあるという事。
 臨也さんの突飛な行動に、だんだん俺が慣れつつあること。
 「じゃあ今年は臨也さんがプレゼントなんすか?」
 「うん」
 「返品は……」
 「サンタさんに返品受付なんてないよ」
 「きっと今年は酔ってたんすね!疲れてて、他の人と間違えたとか!」
 「違うよ」
 「俺の所には本来ネコ耳のメイドさんが来る筈だったんすから!
 臨也さんな訳ありません!」
 「いや、実際に届けられたんだから」
 もう自棄になって、とにかく言葉を発していった。
 だって、こんなのありえないですもん。
 「もうあきらめなよ」
 「はあ……返品したいっすー……」
 「何でそんなに返品したいのさ」
 当然のことなのに、臨也さんは聞いてくる。
 「だって、臨也さんっすよ!?静雄さんが突然倒しに来て俺の家が
 バラバラになってしまって、 その被害で俺は治らない怪我を負って、
 ふさぎ込んでいるところに美少女が看病に! ……ってそれ凄くいいんすけど!!」
 「美少女が看病ってとこはないから大丈夫」
 「いやいやいや、それ除けたら地獄以下なんですけど」
 「よかったね」
 そんな会話を繰り返しつつ。俺はもう諦めて、そういえばと気付いた。
 「臨也さんは、何がプレゼントだったんすか?」
 「え?俺?」
 「そう。貰ってないんですか?」
 「うーん……サンタさんが、遊馬崎くんに貰いなさいって言ってたんだけど」
 まさか。
 このノリはもしかして。

 「ゆまっちでも貰おうかなv」
 
 「ギニャアアアアアー!!」

 「そんな猫みたいな叫び声あげなくても……そうだ、猫耳でもつける?」
 「うわああああああ!!もう俺、ギニャーは嫌っすよー!!」
 「今年はずっと、俺のゆまっちだからね★」
 
 
 こうして俺は、臨也さんの所有物となった。
 ………ちょっと狩沢さん、頬染めて妄想しないでください!!
 え、そ……そこまではいってないっすよ!
 臨也さんだって男なんですから、俺は絶対嫌っすよー!?
 
  
 
 

 
 -----後書き。
 当日は、遊馬臨クリスマスでした。
 あれ、もしかしたらシズイザクリスマスは書かないかもしれません。
 明日は正帝アップ予定ー。今から書きます。できるのか……?
 どうも遊馬臨って、エロ寸前落ちとかになるんですよ。ワンパターン。何故。
 多分接点とかあんまりないからかなあ……。とりあえず肉体関係だけでもゲフゲフ。
 なにはともあれ、ハッピーメリークリスマスです。
 05.12.25 けっぱ