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「今日は何分?」 「1分」 「えー」 「もっとあるよ」 「15分はあるよ」 「短すぎ」 「いくらなんでもね」 「いくらなんでも」 「ありえないよ」 「ありえないね」 「いくらなんでも」 今日は何分?と問うた声から、1分ほど。 コツ コツ コツ、 歩いてくる靴の音が、ゆっくりゆっくり響いてくる。 「よお……一人ネズミーランド」 「銀河さん」 ネジロは「あなたが来ることは分かっていたんですよ」と言わんばかりの無表情っぷりだ。 「なんだよそのクールな態度は。銀河おにーさんがっかりー」 「おにーさんとかいうと寒いですよ、特に銀河さんが言うと」 ネジロの冷静で皮肉な態度に、銀河はやれやれといわんばかりに溜息を吐く。 「俺はまだ三十路いってねえよ」 「へえ、そうだったんですか」 銀河とネジロの間に、冷たい空気が流れる。 「あ、どっこーい」と腰を降ろした銀河は、アロハシャツをぱたぱたとしてあちぃな、と呟いた。 ネジロは、何も言わなかった。 そろそろ帰るか……今日はもっといじめたかったけどな。 居心地が悪くなって(今日のネジロはいつもの三割冷たい)銀河が立ち上がったとき。 「銀河さん」 ネジロが口を開いた。眉根に皺を寄せて、まるで話すのがおっくうだとでも言いたげに。 「あ?」 「嫌いですよ」 「あ?」 「嫌いです」 「……ふん」 嫌いです、嫌い。あなたが嫌い。ネジロはそう続けた。 「嫌いかよ、俺が」 「嫌いです」 「じゃあ、この手は何だ?」 銀河のアロハシャツの端を、ちいさなネジロの手が掴んでいた。 「……銀河さん」 「んだよ」 「だいっきらいですよ」 「知ってるよ。そんくらい」 嫌よ 嫌よも 好き のうち、 (嫌いですよ)(あっそ)(嫌いです)(よしよしわかった、泣け) |