「ん……こんな感じか…?」 昨日、クソフランスと言い合ったときだ。 『てめーがそんなクソ眉毛だから独立されるんだよバーカ!』 なんて言われたので鏡を見たら、確かに何かおかしいような気がした。(あんなヤツに言われた事だけど)気になったら止まらなくて、気付いたときにはカミソリで剃っていた。 少し剃りすぎたような気はするが、とりあえず整った……か?といったところだ。 でも。 「い……痛ッ…」 少し時間が経つと、左眉が痛くなった。何だろう。 鏡を見てみるか。……あれ、鏡かがみ……ここらへんに置いたような…… 「お〜いイギリスぅー!」 「…っ!アメリカ!」 鏡を探していると、アメリカがやって来た。 「お前、今日は何の用事だ?」 溜息混じりに言ってやる。アメリカは、よく突然やってきては強引に話していく。そういうところは、小さいときと変わらないのに。 「俺のおかげで一人前、にっ……!?」 何時も通り皮肉を言ってやろう。そう思ったのに、言いかけたところでアメリカに力強く肩を掴まれた。痛い。抉れそうだ。 「どうしたんだいイギリス!」 焦ったような表情。ああ、いい気味だ。なんて思う暇もない。 「は、放せって……いったい何のことだ?」 「何って君…!!うわ!血が!」 答えを言わないで、アメリカは俺の瞼にキスをした。 予想外のキス。小さい頃はしていたが、こんな大きく可愛らしさの欠片もない姿になってからは初めてかもしれない。 「ア、アメリッ」 「日本じゃ唾つけてれば治るらしいんだけど…大丈夫かな?」 「はぁ!?お前、何して……!」 顔全体に熱を感じる。と共に、左眉の痛みが再び襲ってきた。 カミソリ。眉。血。……ああ、そうか。カミソリで切ってしまったんだ。 「そんなところを怪我するなんていったい何が……あれ?そういえば、眉毛が減ってないかい?」 「……う」 「何かおかしいぞ」 「……ぐ」 こいつに指摘されるなんて。 本気で心配してるみたいだし、正直に話すしかない……かな。 「だ、だって……俺のまゆげ、変……だろ?だから…」 「え…何で?俺はイギリスのどんなところも好きだけど」 さらりと言った一言で、再び頬に熱を感じる。 「ば、ばっかお前、す、すきなんて」 「でもイギリスが怪我するのは嫌だぞ!」 両手を顔に添えられて、ペロペロと舐められる。まるで大型犬とじゃれているみたいだ。 「あ、アメリカ、やめろって!」 「唾をつければ治るんだ!」 「そ、そんなの迷信だ!!」 くすぐったいし恥ずかしいことこの上ないので、どうにかこの大型犬を離そうと暴れる。すると死に物狂いの俺の足がアメリカのそれに絡まって、アメリカが倒れてきた。 「んんぅ……!」 瞼なんてまだよかった。 唇にキス、されてしまった。 「イギリス……」 「ど、どっかいけよお前!き、気まずいだろ!?」 なんてこった。こんな馬鹿から唇にキスされるとは。 罵る言葉も思い浮かばず、どう反応したらいいんだか分からない。 「きみの料理は不味いけど……きみ自身は結構甘いんだな」 何気ないことば。まずくねえよ、と精一杯ぶん殴ってやった。 顔はとてもとても熱かった。 |