「イギリス、好きだよ」 「な、なんだよ。アメリカ、なに言ってるんだよ」 「大好きだよ」 「な、あ、アメリカ、おま、ちょ……あ!」 突然アメリカに耳元で囁かれて、腰が抜けそうになった。何だよこいつ!何を言い出すんだよ!と思いつつも動けなくなっていたら(だ、だってこいつの声が、いつもと違って馬鹿みたいな声じゃなかったんだよ!)今日が何月何日なのか思い出した。 「てめー、エイプリルフールだからってひっかからねえぞ!」 「あ、分かったかい?全く、さっきはひどく焦っていたからいけたと思ったのに……」 「ばーか、考えが幼稚すぎるんだよ」 全くコイツは。こんなにでっかくなっても、頭の中はまだ小さい。……といっても、あの頃みたいに可愛くはないけれど。わざとらしく溜息を吐いて、呆れてみせる。奴は不服そうに唇をとがらせていたが、ふと何か思い立ったようにその口を開いた。 「ねえ、イギリス」 「何だ」 「俺のこと、好きかな?」 思ってもいなかった突然の問い掛けに、硬直する。アメリカ、こいつ、いま、何を。 にこにこと、馬鹿みたいな笑顔を崩さないアメリカ。こいつの意図は、なんだ。……駄目だ、読めねえ。ポーカーフェイスっていうのは、ただ無表情な奴のことだけを言うんじゃなくて、こういう風に何考えてんだか分かんない馬鹿のことも言うんじゃねえの? 俺はちょっぴり考えて、考えて、考えることを放棄して行動した。 「馬鹿野郎、嫌いだよ」 鬱陶しい奴のメガネを取って、頬に軽く唇を付ける。 「えっ、イギリス、これは嘘かい!?」 なんて慌てるアメリカにひらひらと手を振って。 「それくらい自分で考えろ、ばーか」 大人の余裕そのものな笑みを浮かべて、心に嘘を吐いてはみたけれど。 |