年寄りになったから、でしょうか。
子供に、好かれてきた気がします。

「日本ー!にほんにほんにほんー!」
「おや、シーランドくんじゃないですか」
バタバタと駆け寄ってきたのは、イギリスさんの弟にあたる小さな少年。
認めてあげたい気持ちもありながらイギリスさんとのこともあるので公的な場ではなかなか話せないのですが、プライベートではよく遊びに来てくれます。
なんでも私のところのアニメに興味をお持ちだとか。今はきっと子供だからなのでしょうが、ゆくゆくはお兄さんのように三次元にのみではなく二次元にはまっていただけたらいいですねえ。その突飛な行動力で同人界に貢献して頂きたいものです。
なんて思っていたら、ぐいぐいとスーツの袖をひっぱられました。
「ねえねえ、ちょっとの間だけ目を瞑ってほしいのですよ!」
わくわくと何かを期待した目で言うから、分かりましたと目を瞑る。

暗い視界の中で、なにやら動く気配と、変身!という声が聞こえた。
……ああ。なんとなくだけど、分かってしまった。

「もういいのですよー」
その声に目を開ければ、朝のヒーローベルトを装着して子供向け雑誌のふろくである、おまけの仮面を身につけた少年の姿が。その手には同じく子供向け雑誌のおまけのブレード。
「どうですか、変身したのですよ!」
「おお、かっこいい!実に頼もしいです!」
そう言って手を叩いてやると、えへへとおまけブレードを振り回しはじめました。
ああ、やはり子供は和みますね。この前来たときにあげた雑誌が喜んでもらえたようで何よりです。
「シー君は強いのですよー!イギリスの野郎なんてイチコロのスーパーヒーローなのですよー!」
どこぞの誰かさんのようなことを言いながら、小さな体ではしゃぎまわる。
やっぱり弟というものは似るのでしょうか。私にはそんな方、いないから分かりませんけれど。
でも、あの方と比べたら害はないし、何よりも可愛くていいですよね。いつだって、子供はいいものです。
「ねえ日本、日本も忍者とかに変身しないのですか?」
微笑んで眺めていたら、おまけ仮面が首を傾げて聞いてきました。
コスプレならしますが、ちょっと今は取りにいくのが面倒です。まあ、適当にお茶を濁しますか。
「私はもう歳ですからね。なかなか変身できないんですよ」
その言葉におまけ仮面は一瞬きょとんとしましたが、それなら、と口を開きました。

「シー君が守ってやるから、安心しやがれなのですよ!」

そう言って太陽におまけブレードを突きつけたおまけ仮面は、お兄さんや、そのもう一人の弟よりも大きく見えました。










おまけ仮面の宣言




08.10.25(シー君可愛すぎます。弟は正義)