「鬼男くぅ〜〜ん!」 ついさっき、仕事中なのに急にニヤニヤして「トイレに行く!」と大王が立ち上がった。 何か怪しいと思ったが、止めるのも変なのでやめた。 「なんですか大王…長かったです、ね……」 その大王が、明るい声で僕の名前を呼びながら戻ってきた。 身を包むのはセーラー服。半袖で、スカートは短く、露出度が高い。 ひらひらと、リボンとスカートが揺れる。何度か、下着が見えそうになる。 女子高生になったつもりなのか、何度か笑顔でポーズを決める。 「おーにーおーくーん?ね、ねーえ?」 僕が呆然としていると、セーラー服は焦りだした。上目遣いで、首を傾げるその仕草。無意識に、腕が伸びてしまった。 「きゃっ!?」 背中に回した腕が、大王とは思えないような細い体を認識する。 「何、仕事中に着てるんですか。このセーラー野郎」 「お、鬼男くん……言ってることとやってることが違うんだけど…ひっ」 細い体を持ち上げ、運ぶ。俗に言うお姫様だっこというやつだろうか。 このひとは、大王なのに。お姫様……か。すこしおかしくて、笑った。 最早仕事など、構うものか。 「え、ちょ、お、鬼男く……」 「いい歳したオッサンがミニスカートなんかはくから……」 「ひ、ひどい!!いい歳してな…ていうかなんで俺の太股触って……ひゃあっ!?」 まるで女子高生のような悲鳴。 「大王」 ぐすぐすと泣き始めた大王の涙を舐める。 「すてきな恋、しましょうか」 |