「鬼男くぅ〜〜ん!」
ついさっき、仕事中なのに急にニヤニヤして「トイレに行く!」と大王が立ち上がった。
何か怪しいと思ったが、止めるのも変なのでやめた。


「なんですか大王…長かったです、ね……」
その大王が、明るい声で僕の名前を呼びながら戻ってきた。

身を包むのはセーラー服。半袖で、スカートは短く、露出度が高い。
ひらひらと、リボンとスカートが揺れる。何度か、下着が見えそうになる。
女子高生になったつもりなのか、何度か笑顔でポーズを決める。


「おーにーおーくーん?ね、ねーえ?」
僕が呆然としていると、セーラー服は焦りだした。上目遣いで、首を傾げるその仕草。無意識に、腕が伸びてしまった。

「きゃっ!?」
背中に回した腕が、大王とは思えないような細い体を認識する。
「何、仕事中に着てるんですか。このセーラー野郎」
「お、鬼男くん……言ってることとやってることが違うんだけど…ひっ」

細い体を持ち上げ、運ぶ。俗に言うお姫様だっこというやつだろうか。
このひとは、大王なのに。お姫様……か。すこしおかしくて、笑った。


最早仕事など、構うものか。
「え、ちょ、お、鬼男く……」
「いい歳したオッサンがミニスカートなんかはくから……」
「ひ、ひどい!!いい歳してな…ていうかなんで俺の太股触って……ひゃあっ!?」
まるで女子高生のような悲鳴。


「大王」
ぐすぐすと泣き始めた大王の涙を舐める。
「すてきな恋、しましょうか」










06.11.11(先輩命令の鬼イカでした。イカは食べられます)