あ   あ なんて きれいな、と



 それ  でい て 、  と て も   う  つくし い



あ  な たは 言  っ    た



虚  ろ な   ま でに こ うごう し   い


 僕   の  し  らな い か    お で



「         」






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「妹子とツナはな〜〜かよし〜〜〜〜TONIGHT!まくらの中は〜〜〜ツナで〜〜〜……ん?妹子ー?いもこ?」
妹子の家へ(勝手に)遊びに来た太子は(勝手に)家の中に入り、妹子を捜索していた。
いつもなら「勝手に入らないでください太子!」とか言って跳び蹴りを喰らわせてくるものだが、今日は静かだ。
もしかしたら、出かけているのかも知れない。
「くっそー、妹子のやつ、聖徳太子が遊びに来てるんだぞ!ムッカー!」
ドスドスと廊下を踏みならしながら歩くと、視界の端に服が映った。

「ん?」

引き返してみると、妹子が寝ていた。
まるまった背中。布団のないところや、すぐ傍の机に書類があることから仕事中に寝たのだろうか。
「……猫みたいだなあ」
自分を抱えるようにして寝る妹子。太子がしばらく見ていると、突然、苦しそうな表情に変わる。
いっそう背中が丸まる。急な変化に、どうしたらいいのか分からず太子は慌てふためく。
「い……妹子……?」

「……!」

顔を覗き込んでいたまま戸惑っていた太子の顔に、飛び起きた妹子の顔が接近する。

「た………いし?」
「妹子?ど、どうした?ツナを食べられた夢でも見たか?」


妹子は暫く口を開けたまま、呆然と太子を見つめる。顔から血の気が引いていて、いつもの妹子じゃないみたいだった。

「か、厠に行ってきます」
急いで立ち去ろうとする、手を掴む。

「待て妹子」
「な、何ですか」

「行くな。今のお前は、そのまま消えてしまいそうだ」
本当のことを言った。思ったままに。そうとう怖い夢だったのか。

「……に」
「?」

「な……に、まともなこと……言っちゃってるんですか…ッ……太子…」
ぽつりぽつり、涙が落ちる。手を掴んだまま、ふたりは動かない。

「太子…アホの、太子ですよね……」
「アホじゃないぞ」
「……僕を…見てください………」
手が震えているのが伝わる。掴まれていないほうの腕で涙を隠し、理不尽なことを言う。
未だに夢で見た悲しい気持ちが抜けきらないのか、長い間、妹子はそうしていた。

ぐい、と手を引き寄せる。
「たい、し」
「私はアホじゃないけど、妹子と一緒にいるぞ」
胸の中に入れて、ポンポンと背中を叩いてやる。そろそろと、背中に腕が廻ってくる。




消えてしまいそうな妹子の、涙で腫れたまぶたの上に、そっと唇を重ねた。












 み ずな   か  お ぼれ   た  ぼ  く


   た いし は   ま  る で え    ら いひ  と    よ  う に



       え  ん で     





     み       む    き            せ  ず




 さ    っ  て      い    っ  た










06.11.05(どうしても私は妹子を泣かせたいらしい)