「榎木津さぁん」 「あの人はいませんよ」 「何でですかぁー」 「何でって、」 酔ってるなあ、と思う。そういう自分も、先程までは寝ていたわけだが。 青木と益田(と鳥口)は、若者同士で飲んでいた。尤も、鳥口は食べるだけ食べて寝てしまったが(あの人は何をしに来たんだろう)。 ぐうぐうという鳥口の寝息(というよりは、鼾)を聞きながら、益田とつまみをつまんでいた。 どうやら自分が潰れていた間に、一人だった益田は手酌でどんどん飲んでいたらしい。 「んんー、どうして青木くんがいるんですかぁー」 「どうしてって……」 相当な言われようだ。 何かあったのだろうか。いや、何もないだろう。 益田はいつも思い人と自分との変えられない差に悩んでいる。 それでも。 「僕ぁ大好きなんですよぉー、あの人のこと」 こうして僕にうるさくあたるくらいだから、悩んだ方がいいんじゃないかと思う。 人に散々迷惑をかけてるんだから、ちょっとくらいは困って欲しい。 ひとつ溜息をついて。……でも、もしかしたら、僕も。 「そういや、青木さんはどうなんですかぁ」 「……何がですか」 「木場さんですよぉ」 「!」 恋する僕ら (わ、赤いですよ)(……よ、酔ったんです) --- 「ハリスさーん」 「ん?何だヒュースケンくん、脱げってか?」 「違いますよ。ていうかそれ、セクハラです」 「で、何だね?」 「そのですね、折角十回も押してもらったので、何かお礼を……」 「脱げってか!」 「違うわ!第一誰もハリスさんの裸なんて見たがらないです」 「なんだと〜!やっぱりインパクトの為には脱ぐしかないだろ!脱ぐしか!」 「いや、大変不快なインパクトなのでやめてください」 「なにをぅ……ハッ」 「ま、また何か妙なことを思いついたんじゃ…」 「そうだ!君が脱げばいいんじゃないか!セクスィーインパクト!」 「は?……え、えええええ!?ちょ、やめてくださいよハリスさん!」 「ヨイデハナイカヨイデハナイカ」 「何処で覚えたんですかそんな日本語!ていうかもう、お、オランダに帰りたい……!」 --- 「先生」 「絶望した!ラックさん書きすぎて日和と絶望は書きたかったのに書けなくなって小ネタにしたうえ、何故か初めて書く絶望を最後に持ってくるところに絶望した!」 「先生」 「もうダメです。久藤君。私はここを去ります」 「常月さんは離れませんよ」 「そうよ」 「って、いつの間に?!く、久藤君!」 「僕が呼んだんじゃなくて、常月さんはずっといますから」 「もう絶望した…」 「そんなことばっかり言ってないで、ちょっと目を瞑ってください」 「え?こうですか?」 (……ってハッ!ま、まさか久藤くん、私にき、キキキキスするつもりじゃ!?常月さんもいるのに!?) (ドキドキドキドキ) ガラッ 「さて、みんな何してるのかな」 「あら久藤くん」 「ばれてたのね」 (あれ?遅いな、話し声が聞こえる?) 「こんなところを見られたら、先生泣いちゃうから。帰ってね、常月さんは……諦めてるけど」 「えー」 (ま、まさか、常月さんを追い払ってるんじゃ、ドキドキドキドキ) 「いいですよ」 「へ?」 「ほら、目を開けてください」 「え?な、何をしてたんですか?」 「先生の嫌いな虫がいたので、追い払ってました」 「……な……は、恥ずかしい、私……絶望したー!」 (お邪魔虫、っていう虫をね)(先生はいったい何を期待してたんだろう) |