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  「寒いなあ……」
  まだ少し気の早いクリスマスソングが、街を流れるりりんりん♪

  【シズちゃんと俺 プレゼントは?】

  昼間の飾られたモミの木の前に立ち、思いを巡らせる。
  ライトアップされた12月25日6分前。俺は白い溜息を吐く。
  「結局、会えなかったな……」
  池袋に来て探し出してから、もう何時間経ったのだろう。
  『調べなくても愛の力で見つかるから☆』なんて、
  波江さんに言っちゃったのが間違いだったかな。
  「帰るか」
  残念な気持ちが溢れてくるのを感じながら、やけに重い袋を下げて歩き出す。
  冬の澄んだ空気が、鋭く俺の鼻を刺激する。
  赤い顔で、鼻水を気にしながら。もう今夜は寝てしまおう………………。
  
  「臨也ッ!!」
  「え?」
  振り向いたら、そこには白く荒い息のシズちゃんがいた。
  「……シズちゃ……?」
  「何でだよ……!」
  「え?」
  「何で、マフラーも手袋も着けてないんだよ!」
  自分だって、つけてないくせに。
  そう言おうとした俺の唇は、気付いたらシズちゃんに塞がれていた。
  「しょっぱい……」
  その一言で、俺は自分の顔が涙と鼻水でぐちょぐちょなのに気付いた。
  ……恥ずかしい。
  寒さじゃない理由で真っ赤になった俺に、シズちゃんがマフラーを巻き付けた。
  「……プレゼントだ」
  
  
  「……ッ!!」
  俺はドキドキしながら胸を押さえる。まだ25日は、ちょっと先。
  もうクリスマスが近いんだ……シズちゃん、プレゼントくれるかな。
  プレゼント……そういや、まだ買ってなかった。シズちゃんは何が欲しいんだろう。
  「聞きに行こう☆」
  
  「クリスマス商品、20%オフです。お買い得です」
  なんて台詞を吐くシズちゃん。今日はクリスマスセールのバイトか。
  ……じゃなくて!
  「サンタ?」
  その姿は赤く、そして格好良くて………そう、恋人はサンタクロース!
  「いーざーやーくーん?なんでここにいるのかなぁー」
  浮かび上がる血管。メキメキ音を立てる看板。
  「その格好で言われてもねえ」
  俺もナイフを準備して。でも、用件はそれじゃあないよね。
  「ねえシズちゃん」
  「あ?」
  「何か欲しいもの、ある?」
  「手前からは何もいらねえ」
  もう!シズちゃんったら素直じゃないんだから!!ちゃんと言えばいいのに。
  でも、これ以上いるとヤバいよねえ……。
  「じゃあね。シズちゃん。……そろそろ、クビだと思うし」
  シズちゃんの後ろに真っ青になった店長がいるのを確認して、俺はその場を後にした。
  
  「『手前からは』……ねえ」
  俺"から"。つまり、それは…………俺が欲しいから、『俺からは』いらないんだよね★
  ……よーく分かったよ。
  だから、シズちゃん。
  クリスマスプレゼント、期待して待っててね☆



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  05.12.8 けっぱ  08.10.11後書き修正

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