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 「おかし……くれないのが悪いんだからねっ!」
 
 
 【シズちゃんと俺 トリックアンドトリート】
 
 
 おっかしーをくれなっきゃいーたずーらすっるぞ!!臨也だよ★
 まあ、おかしくれても悪戯するけどね。
 いたずらの内容ってのは、具体的に言うとね…………ひ・み・つ!!キャッ☆
 「お菓子ちょうだーい悪戯するから」
 ここは将来、俺の家になるアパートのい・っ・し・つ……つまり、シズちゃんの家…。
 俺は猫男になって(狩沢さんに貰った黒い猫の耳と尻尾をつけた)堂々と潜入した。
 なんたって今日は十月三十一日!手には昨日作ったジャックオランタン!!
 あ、でもシズちゃんはハロウィンすら知らないかも……それはそれで好都合だけどねっ。
 
 「あれ?」
 
 いないのかな……おかしいなあ、カメラの映像ではいるはずなんだけど…。
 「シーズーちゃーん。あーそーぼ」
 なんて、子供みたいに言ってみる。でも、シズちゃんは出てこない。
 どうしたんだろう……ハッ!
 ま、ままままままさか…………お、襲われてるとか…!
 も、もも、もしかしたら……!お、俺のシズちゃんが、俺のシズちゃんの純潔が…!!
 「シズちゃん!!」
 慌てて走って、中を探す。どうしようもない焦燥感に包まれて、暑くもないのに汗がたらり。
 
 「すぴー……」
 俺が息を荒げたとき、シズちゃんは安らかに眠っていた。
 でも、服がところどころナイフで切られてる……!!いったい誰に…!
 ………あれ?俺だ☆
 だって、幽君が弟だからって俺を差し置いて服なんかプレゼントするから!
 そりゃ、シズちゃんのバーテン服姿はか、かっこいい……けど……。
 ……想像すると…きゃんっ☆シズちゃんったらっ……!!
 俺だってメイド服とかそ、その!ウエディングドレスとか準備できるん、だから……!
 ま、まあそれはともかく!!
 
 「お菓子くれないんだったら、いたずらするしかないよね…?」
 そう言って俺が取り出したのは、太いマジック(油性)。
 キュキュキュキュ、という音がして、シズちゃんの綺麗な顔に黒い痕。
 ……顔、汚れちゃったけど……こ、これで…!!
 
 
 
 
 「……静雄ー?静雄、寝てんのか?」
 ドアの外から、トムさんが話しかける。まあ……下手に起こしたら大変だもんね。
 でも、静雄静雄って……俺だってまだ名前で呼べないのに…!!
 「トムさんっすか……あー…すんません…」
 ぼうっとしているのか、まだ眠たそうな目で出てくるシズちゃん。
 寝起きのシズちゃん、可愛すぎるよ……!!もう、絶対他の奴になんか見せたくない…!!
 「……あー…静雄。鏡見てこい」
 トムさんはあくまでも何時も通りの声色。うーん、ポーカーフェイスなのか、淡泊なのか分からないなあ。
 シズちゃんがまた部屋に戻る。
 
 「……っ!!臨也の野郎ォォ……!!!」
 
 鏡に映ったシズちゃんの可愛くて綺麗な頬には、大きく『イザヤ』の文字。
 あーあ。あれとるのに時間掛かって、今日は仕事できないだろうね★
 少しでも多くの人間がシズちゃんに惚れないようにするの、大変なんだから♪
 
 ねえ…知ってるかな、シズちゃん。
 自分のモノには、名前を書かないといけないんだよ?
 
  
 
 

 
 -----後書き。
 (あー……十ヶ月と十五日ぶりです。えーと、行き詰まった訳ではないと思いますが。)
 06.10.16 けっぱ  08.10.11後書き修正