「や…っ!痛いってば…っ」
【シズちゃんと俺 痛いよ…シズちゃん…っ】
今日は波江さんが働く日。
「…あなたも何かしなさいよね」
その通り、俺はぼーっとしている。だってこれは恋の病だから☆
《PRRRRRRRRRRRRRRRR PRRRRRRRRRRRRRRR》
「あら、誠二からだわ」
「それ、普通の着メロ…変な人だね」
ラヴソングとかにすればいいのに。俺はかかってこないけど。
「え?うん。そうよ?分かったわ。愛してるわ誠…」
あ、切られたな。
「ねぇ波江さん、そのブラブラしているの何?」
ストラップみたいだけど…。小さい人形?
人に見えるけど…何かのキャラクターではなさそうだし。
「誠二よ」
「…手作り?見せて」
「ちょっと…」
波江さんから小さい誠二君を取って観察した。
「よく出来ているねぇ…」
ミニマム誠二君を携帯ごと眺めている俺に、波江さんがもの凄い視線で攻撃してくる。
俺もこんなの欲しいなあ…そうだ。
「波江さん。頼みがあるんだけど」
「折原臨也がお裁縫だなんて…」
俺はミニマムシズちゃんを作るため、波江さんに作り方を教えて貰っていた。
「で、ここはどうするの?」
「この肌色のフェルトに針を――」
「…っ!」
「ドジねえ。これくらいで怪我するなんて」
「あーあ、血が出ちゃった。絆創膏絆創膏」
一時休止。
「で、ここはこの針を使って―」
波江さんの言葉を聞いて、太さの違う針に手を伸ばす。
家庭科の成績も良かった筈なんだけどな…。
「そういや俺、よく家庭科部の子から差し入れ貰ってたんだよね。
シズちゃんが好きだった子とか」
「あらそう…ここ、間違ってるわよ」
「嘘ッ!?」
慌てて直そうとすると、また針を指に刺してしまった。
「…才能無いわね」
そんなこんなで一ヶ月後。
「…できた!!」
苦労して作ったかいもあって、可愛いシズちゃんができた☆
その痕とでも言わんばかりに、俺の手には包帯が巻いてあるんだけどね…。
早速携帯しようと思って、携帯電話に付ける。
「じゃあ本物のシズちゃんに会ってくるよ」
鼻歌を歌いながら俺は池袋へと足を運んだ。
「何で手前がここにいるんだよ?いざやくんよォ」
「偶然シズちゃんに会えるなんて思いもしなかったよ」
計算済みだけど。
「その名前で呼ぶなっつってんだろー?」
「やだなあ、ダーリンとでも呼んで欲しいの?」
その一言に、シズちゃんがぶち切れる。本気だったのに…。
「んな訳ねぇだろうがよォォ!」
「わ、ちょ、シズちゃん待っ…痛っ!」
あまりの激痛に俺は思わず右手を押さえる。
「…?お前、ちょっと手ェ見せやがれ」
「え…」
シズちゃんが俺の手の包帯を解いて、傷跡をまじまじと見つめた。
「…何だよこれは」
「えっと…お裁縫のアト?」
間違ってはいないよね?
そう考えていたら突然、シズちゃんが俺の手を――
「…っ!シズちゃん!?何!?」
シズちゃんが、俺の手をペロペロと…!
「…黙れ。舐めときゃ直るだろ」
ああ、シズちゃんが犬みたいで可愛い…!
「く…くすぐったい…よ…っ!」
何だか嬉しくて、顔がにやけてしまう。これはくすぐったいからだけではないと思う。
シズちゃんに舐められてるって…俺、凄く幸せ☆
「っと…んなもんでいいだろ」
そう言ってシズちゃんが手を離す。
放心していた俺は、その行為で我に返る。
「何で男が裁縫なんざ…」
「ありがと」
お礼を言う。だって、一応だけど手当してくれたから。
「っ…///!こんなになるまでやるな!いいな!?」
「キレないでよ…変なシズちゃん」
最近のシズちゃんは本当に変。大丈夫かな?
それより俺の顔の赤みが引かないことの方が問題だけどね☆
「男が裁縫なんて…気持ち悪ィからサイモンの寿司屋に行く」
そう言って何故かシズちゃんはダッシュ…ま、待ってシズちゃ…!!
ああ、俺のシズちゃんがサイモンの所に!許すまじサイモン。
でも…もうこの手は洗えないよ…おっと、また顔がにやけちゃった。
…もしかして、さっきのって心配してくれて…いや、それはないか。
シズちゃんは消毒のつもりで舐めたのかもしれないけれどさ、
俺にとってはある意味毒なんだよねv
だから、シズちゃん。
君に傷が出来たときは、俺が舐めてあげるからね☆
(葛原さんに捧げます。駄文ですが茹でるなり炒めるなりお好きにどうぞ。
ミニマム誠二君を見て思いついたネタです。貴女の為にレッツ更新★
遅くなって申し訳ありませんでした。
一応書いておきますが葛原さん以外は転載等々お持ち帰りとか禁止です。)
05.4.4 けっぱ 08.10.11後書き修正